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知的財産関係の話題と、事務所のニュースをお届けします。

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■ 米国グロサリープログラム開始から1週間

米国においてグロサリープログラム(Glossary Pilot Program)が開始されてから1週間が経過した。

このプログラムは、ソフトウエア分野等の特許出願について、クレイム及び明細書に現れる語の定義を抜き書きした「用語集」を添付することで、早期審査の対象とする、というもので、実質 4,000 ドルの早期審査手数料を削減できる、としてされているものだ。

プログラムは6/2から6月、または200件に達するまで、と されているが、現時点でどれほどの申し出がされているかは明らかになっていない。ただ、「用語集」の記載に際しては、各用語の意味の外延を明確にすべしとされているため、後に権利を限定的に解釈されることが懸念され、それほど利用されないのではないかと言われているところである。

米国アトーニーによれば、限定的に解釈されないよう注意した記載が検討できるのではないかと思う、とのことであり、どうしても早期に米国での権利化を図りたい案件についてであれば、考慮の余地があるかも知れない。

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2014/06/09 ・話題   baserroot

■ ホンダ、スーパーカブの立体商標に係る商標権を取得

 ホンダは26日、同社のオートバイ、「スーパーカブ」の立体商標に係る商標権を獲得したと発表しました。商標権ですので、10年ごとに更新することで半永久的に権利を維持でき、同社ではブランド価値のさらなる向上につながるとしているようです。

 立体商標は、立体的形状に係る商標権で、店頭に置かれる人形のたぐいなどの保護に役立てられていますが、車両について認められたのは、これが初めてのケースだということです。

 スーパーカブについては、微妙なデザイン修正は常に行われているものの、開発当初から、その基本デザインがあまり変更されていないそうです。ただ、何年式のモデルであるかは、見る人が見ればわかるのだそう。今回の立体商標は何年のモデルに基づいて行われたのでしょうね。

 

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2014/05/27 ・話題   baserroot

■[速報]サムスン-アップルの大合議判決がでました

 FRAND 宣言によりライセンス契約が成立したか、などの争点をめぐるサムスン v. アップルの大合議判決がでました。

 結果は、形式的にはサムスン側の勝訴となり、アップルに対して約995万円の損害を賠償するよう命じるものとなりました(訴訟費用は2/3をサムスン、1/3をアップルが負担)。もっとも、被疑侵害品の売上げとの関係でみたとき、この勝訴判決は実質的な勝訴とまでは言えないかと思われます。

 5/16 16:10現在、知財高裁のウェブサイト(http://www.ip.courts.go.jp/hanrei/g_panel/index.html)には、早くも要旨が掲載されておりますので、詳しくはそちらをご覧ください。

  以 上

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2014/05/16   baserroot

■ 弁護士連合会、職務発明に対する意見を公表

 日本弁護士連合会は5月7日、同会ウェブサイトに「職務発明制度の在り方に関する意見書」を公開した。

 産業構造審議会において職務発明制度の見直しについて検討されており、特に法人帰属に関する議論が行われていることに関係するものとみられる。

 意見書によれば、法人帰属となった場合であっても、従業者等からの報償請求を可能にすべきと述べるとともに、使用者側(法人等の側)の立場からみても、報償決定基準の合理性について予測可能性を担保すべきであるなどとしている。

 意見の内容について詳しくは、同会のウェブサイトで見ることができる:

http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2014/140507.html

 

 職務発明制度については、上記のように、現状、法人帰属を念頭においた議論が行われている。

 

 

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2014/05/12 ・・法律   baserroot

■ 商標審査基準ワーキンググループ

 4月24日、特許庁において改正後商標法に対応する商標審査基準策定の第一回ワーキンググループが行われた。

 新規種類の商標として、

  • 動き
  • ホログラム
  • 輪郭のない色彩
  • 位置

があり、これらについて願書への記載事項や、商標の特定方法等が検討された。

 当日配布の資料等に、現在検討中の内容が記載されている。

 資料は、こちら(http://www.jpo.go.jp/shiryou/toushin/shingikai/t_mark_wg_new01shiryou.htm)で参照できる。

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2014/05/02   baserroot

■ 法案成立

追っかけておりました、弁理士法、特許法、商標法等の法案ですが、ついに成立致しました。

改正法の内容につきましては追ってお知らせ申し上げます。

以 上

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2014/04/25 ・・法律   baserroot

■ 債務不存在確認訴訟

 一連の Apple v. サムスンの事件のうちの一つで、地裁で争われていた債務不存在確認訴訟についての判決文(平成26年3月25日判決)が裁判所ウェブサイトに掲載されました。事件番号は、平成24(ワ)9695です。

 この事件は、サムスンの特許権侵害による損害賠償責任を負わない旨の確認をApple側が求めた訴訟です。こちらにも争点の一つとして FRAND 条項に関わるものがありました。しかし裁判所は結局、当該争点には触れず、Appleはサムスンの特許権を侵害していない、として債務不存在の判決をしています。

 FRAND の事件としてはしたがってあまり見るところのない事件となってしまいましたが、非侵害の結論を出すところで裁判所は明細書の記載不備を指摘しており、この点は実務家としてはケアしておくほうがいいかも知れません。

 具体的には、利得に関係する情報を計算するにあたり、

(1)計算に用いる因子を受信し、
(2)当該受信した因子を用いて、ある計算式にて利得に関わる情報を計算する

という工程について、この計算工程全体で、「利得に関係する情報を受信」したと言えるかが問題でした。裁判所は、「計算」等の普通の語の意味からしておかしいと判断しています。辞書的な意味を参酌して明細書の記載不備を指摘した事件の一つと言えるかと考えます。

以 上

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2014/04/23 ・・裁判所   baserroot

■ 改正法の状況(update)

 特許法や弁理士法等を含む法案につきましては、18日の衆議院で質疑が行われた模様です。

 どうやら順調に通過中のようで、このままいけばまもなく成立の運びとなるのではないかと思われます。

 いよいよ、特許としては付与後異議が復活するわけです。

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2014/04/21   baserroot

■ 発明の日クイズ

■4月18日は発明の日です。

 

これは明治18年4月18日に、専売特許条例という法律が髙橋是清らによって公布されたことを記念して定められたものです。

「専売特許条例」は、現在の特許法の元祖ともなるものですが、その内容は今とは大きく違います。

 

■ たまには、ちょっとしたお遊びで、クイズ形式にしてみましょう(こたえは文末)。

 

Q1.次の(a)から(d)の中で、専売特許条例について正しいものが一つあります。それはどれでしょう。

(a)専売特許条例において、特許を受けたいとして願い出る先は、特許庁長官である。

(b)(いまでいう)特許の存続期間は最長20年である。

(c)(いまでいう)いわゆる進歩性の規定はなかった。

(d)軍用に必要と認められるときには強請実施権が設定された。

 

Q2.次のうち、特許を受けられないものとして定められているのはどれでしょう。

(a)原子核変換の方法によって製造される物。

(b)化学の方法で製造される物質。

(c)飲食物。

(d)医薬品。

 

Q3.専売特許条例は全何条の条文からなるでしょう。

 

Q4.特許の願い出には願書に、発明の明細書、必要な図面を添付すべきと規定されていましたが、場合によって、これ以外のものの提出が求められることがあったようです。それは何でしょう。

 

…以上、いかがでしたでしょうか。

 今日あたり、改正特許法は衆議院の審議に入った頃でしょうか。そうとすれば、タイムリーなことかも知れません。今回の特許法改正では、一度廃止された「付与後異議」が復活します。そういう意味では、古い法律の中にもたまには発見がある、かも知れません。

 

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(問題のこたえ)

Q1 (c) 進歩性の規定は昭和34年法からです(特許庁荒玉文庫を参照)。出願先は農商務卿、存続期間は最長出願から15年、軍用に必要と認められると特許取り消し、でした。

Q2 (d) 医薬品が正解です。原子核変換の方法についてはまだその技術がなかったかと。

Q3 全28条からなる条文だったようです。

Q4 場合により現品またはひな形を差出すよう規定されています(第2条)。

 

そのほか、特許発明を改良してこれと別に特許を受けたいときは、もとの特許発明の権利者の承諾を得るべし(9条1項)とか、実施を強制する規定があったり(15条)とか、ちょっと面白い点があります。

 

※問題文をちょっと修正 (4/19) …クイズ作成って苦手です :)

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2014/04/18 ・話題   baserroot

■ ePCT と Heartbleed バグ

 先日お伝え致しました Open SSL の Heartbleed バグですが、ePCT も、この影響を受けるバージョンの Open SSL を利用していたとのことで、先頃 WIPO よりお知らせが送られて参りました。

 お知らせによりますと、既に Heartbleed バグへの対策は完了しているとのことです。

 ただし、脆弱性があった期間にユーザ名やパスワード等が漏洩した危険性はあるとのことで、火曜日の朝には、パスワードリセットを行ったとしています。その案内はメールで届けられているとのことですが、こういった事態の後ですので、メール記載のリンクを使わずに、ブラウザで直接 URL を入力して ePCT サイトへ行き、そこでパスワードの再設定を実行したほうが安全そうです。

 そのほか、PCT-SAFE において同じく Open SSL が使われているとのことですが、こちらは脆弱性を持つ機能が使われていなかったので、問題はなしとする見解があるようです。ただし、対策版がまもなく配布される予定とされています。

 以上、WIPO メーリングリストの ePCT ユーザ宛メールから引用してご報告まで。

 

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2014/04/16 ・話題   baserroot
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